証拠保全、調査
医療事件のご依頼を受けた場合、最初に行うのは資料の収集です。
最近は電子カルテが多くなっており、医療機関が全て電子カルテの場合には証拠保全は不要ですが、過去にはカルテの改ざんのような事件もありましたから、それ以外の場合は原則として証拠保全手続を行うことをお勧めしております。
収集された資料を基に弁護士の法的知見と協力医の医学的知見を照らし合わせて、損害賠償請求が成立するかどうかを調査いたします。
医療行為においては医師の裁量が広く認められているため、交通事故等と異なり悪い結果になったからといって即座に損害賠償請求ができるわけではありません。
医療機関側に過失が認められ、相談者・依頼者様に損害が発生していなければ請求はできないのですが、その調査・検討を行います。
調査検討としては、医学文献(ガイドライン、医薬品の添付文書、医学論文等)の収集、協力医との面談等によって医療機関の医療行為の問題点を明らかにしていきます。
医療事件における当事務所の最大の強みは、優秀な協力医による独自のネットワークを構築していることです。
医療事件は患者側の勝率が非常に低い訴訟類型として知られていますが、その原因の一つに協力医の成り手がすくなく、協力医になってくれたとしてもモチベーションが低い方が多いということがあります。
元来、医師の仕事は患者を直すことであって、医療事件の協力をするのは、医師の本来の仕事ではありません。
また、医師の世界が狭いため、協力医として患者側の訴訟に協力していることが知られると本業での人間関係に響く可能性があります。
そうしたことで医療事件の難しさになっているのが実情ですが、当事務所では優秀な協力医によるネットワークを構築しているため医療事件を処理することが可能になっております。
なお、調査の結果、医療機関側に過失が認められないという結論になる事案もあります。過失が認められない理由を意見書等でご説明することになります。
当事務所では、過失が認められず、道義的にも医療機関側に問題がない事案については、その後の法的手続をお断りすることもあります。
これは、当事務所が医療事件に携わり、協力医の方々にお手伝い頂いているのは、あくまでよりよい医療を希求するため、患者と医療機関のトラブルを解決するためであって、医療機関自体を敵視している訳ではないからです。
医療機関側との交渉、訴訟、調停、ADR等の手続選択
上記の証拠収集及び調査によって、医療機関の問題点が明らかになった段階で医療機関側と交渉に入ります。
医療機関側が任意での交渉に応じなければ、訴訟、調停、ADR等の手続を選択して争っていくことになります。