賃料請求、明渡事件
賃借人が賃料を支払ってこない場合、賃貸人は賃借人に対し、未払賃料の請求できますし、滞納賃料が数カ月に及ぶ場合には建物の明渡を請求することができます。
判例上、賃貸借契約のような継続的契約を解除するには未払があるだけでは解除できず、信頼関係の破壊が必要であるとされます。概ね2か月分の賃料の未払があれば、明渡の請求が可能です。
また、建物の老朽化が進んでいる場合には、借主に解約申入れを行ったうえで、立退きを請求することができる場合があります。
契約不適合責任
不動産売買などで契約目的物が契約内容に適合しない場合には、解除や損害賠償請求等を行うことができます。例えば、契約時には分からなかった地中埋設物が存在し、地中埋設物を撤去しなければ契約で意図した建物建築ができない場合や、土壌汚染等が発覚し、行政から除去を要請される場合には、撤去費用・除去費用等を売主に請求できる場合があります。
なお、契約不適合責任は、旧民法では「隠れたる瑕疵」がある場合に瑕疵担保責任が認められていましたが、近年の民法改正により「契約不適合責任」として整理され、契約解除、履行追完請求、代金減額請求、代金減額請求等をそれぞれの要件に照らしながら請求していくことになります。
借地借家法非訟事件
不動産関係の非訟事件として、賃料増減額請求、借地権譲渡許可等があります。
賃料増減額請求は賃料相場と実際の賃料に乖離がある場合に認められます。
借地権譲渡許可は、地主が借地権者の借地権譲渡を認めない場合に裁判所に譲渡の許可を求めるものです。
境界紛争
複数の土地の境界(筆界)について争いがある場合、境界確定訴訟を行うことになります。境界確定訴訟は、あくまで複数の土地の境界(筆界)を確定するだけですから、本来の境界を越境して長期間占有している場合には取得時効が成立し、所有権を取得できる場合があります。
通行権に関する紛争
近時、通行権に関する紛争が増加傾向にあるように思われます。私法上、通行権としては、当事者の合意に基づき設定される通行地役権、土地の性質上、当然に認められる囲繞地通行権以外にも人格権に基づく通行権が判例上認められています。